「脳神経科学プログラム」大阪市内私立高校の生徒の皆さんからの感想
大阪府内の私立高校にて共同研究を行っています。8/2の夏期合宿中に生徒の皆さんと対面できる機会をいただき、チームスタッフとともに学校へ伺ってきました。
これまでコロナの影響もあり、動画のみで脳の仕組みを理解するためのプログラムを実施してきました。生徒の皆さんの向上心・柔軟性、そして現場の先生の熱意により、素晴らしい変化を起こしてこれたのではないかと思っています。その変化に日々感動しています。これからも生徒のみなさん、先生、我々で共により良い変化を起こしていきたいと思います。
参加頂いている生徒の皆さんからの感想を一部紹介させて頂きます。
・ネガティブ思考や、間違うことは当たり前で、悪いことじゃない。
・自分は変われるということを知っているということによって結果が変化していくことが興味深いと思った。
・自分の嬉しかったことなどを思い出したりして、外側だけでなく内側に対象を向けることが集中力につながるとわかったこと。
・アンガーマジメントの動画が一番興味深かったです。私は周りに怒っている人がいるととても不安な気持ちになってしまうので、前頭前野と扁桃体の関係など詳しく知る事ができて良かったです。これから、不安になってしまった時は一呼吸おくようにしたいです。
・脳は実際に見ている情報のほんの一部しか処理していないということ。 そのことを理解して勉強の記憶をしていきたい。CEMとSN,DMNを理解して勉強に使用していきたい。
・脳は何回も出てきた時物を覚えやすいということ。シナプスが強固になること。その動画(講義ないの資料動画)を見たときは、覚えれない、と悩んでいたときなので、やればやるほどシナプスが伸びる!と思うことで気が楽になったし、前向きに暗記ができた。
・脳の仕組みや物質のはたらきを知ることで理由もなく反復学習していた前の自分からしっかりと記憶に定着させるぞという目標を持って勉強に打ち込む自分へと変われたと思います。
・脳はオーダーメイドすることができると知り、驚きました。自分が求める未来や理想をもって、個性や価値観を大切にしながら目標に向かって頑張っていきたいなと思いました。
・自分が思っているより脳は外部からの影響を受けやすいということを知って、これからは自分の脳にどんな影響が与えられているのかと考えながら色々なことを体験していきたいです。
・これから生きていく上で、これらの動画で見たことを知って生きていくのと、知らずに生きていくのでは全く違うと言えるほど重要な内容だった。このような経験を、勉強だけとは言わず、人生の様々な場面において活用したい。
・初めは「何これ?」と思いながら見ていたが、動画を見るにつれて少し面白さもわかったし、自分を見つめ直す時間にもなった。
・自分自身、これ以上は無理だとか自分にはできないとか思って諦めてしまうことが多かったり、周りの人よりも覚えることに時間がかかったりしてはじめから自分の可能性を否定してしまうことが多かったのですが、集中の脳の状態だったりを知ることで自分は成長してるんだなと思うことができましいた。
・レクチャーを聞き、脳についての様々な知識を得ることができ、その知識を家族や友達にシェアして一緒に脳のことについて話したりする機会が増えました。また、難しい話なのかなと思っていたけど、思っていたよりも身近なことに繋がりがあることを知り、抵抗なく楽しく受けることができました。脳への考え方が大きく変わりました!
以下は本研究の概要
参考:研究概要
研究テーマ
・神経可塑性への理解を深めることで主体性はどの程度育まれるか。
・記憶の仕組みへの理解は、ヒトの多様性への理解を深め、互いの心理的安全な空間の形成を促すか。
⑴目的
主体性を育む
主体性とは?
ある行動や思考などをなす時、その主体となって働きかけるさま。
→つまり自分の人生の選択を自分の働きかけによって決定していくこと。
主体性の3要素
・自分で考え、自分で選択し、自分で行動する。
・社会の当事者であると自覚する。
・より良い未来を自ら想像し創造する。
⑵なぜ主体性が重要なのか?
現代は人生100年時代と言われる。それと合わせてテクノロジーの発展に伴い社会の複雑性が増し、変化のスピードも増している。2007年に発売されたiPhoneを始めとしたスマートフォンは私たちの生活を大きく変えた。誰もが世界中で常に情報にアクセスできるようになった。それと同時に誰もが情報を発信できるようになった。SNS、動画投稿サイトなどがメディアに与えた影響は大きく、人々が統一されたメディアを通して情報をキャッチしていた時代とは大きく異なる状況になっている。これまで表現する場を獲得できなかった人々の活動は多種多様になり、メディアの分散に伴い新たな可能性が生まれている。常に情報にアクセスできる一方、スマホ依存も懸念されている。
社会の変化に伴い、人生の選択肢も圧倒的に増えたと言える。加えて医療の発展に伴った人生100年時代と言われる現代において終身雇用、正社員などを中心とする労働システムは見直されつつある。
これらの背景により「VUCA」「変化の激しい時代」などと言われる。変化に対して柔軟な姿勢は現代の必須スキルとも言える。変化に対して柔軟でない場合、もしくはより変化に柔軟に対応するには、変化に対する認識(マインドセット)を変えていくことが効果的なアクションになる。
その認識の変化とは、
現代は
・「変化を求められる時代」ではなく「なりたい自分に変化しやすい時代」。
・言い換えればこれまでの社会では実現できなかったことを実現できる可能性が大きくなった時代。
・出会えるはずのなかった人たちと出会えるようになった時代。
・調べ方さえ分からなかった情報が手に入るようになった時代。
・誰もが表現の場を持つことができる時代。
このようにインプットの機会もアウトプットの機会も圧倒的に増えた。つまり自ら求めれば自分の知りたいこと、したいことが実現しやすい時代と言える。しかし自らの興味、価値観が明確ではない状態では、刺激の強い情報、目新しい情報、重要そうな情報に飲み込まれこの時代の恩恵を与れない。つまりこれまで通りこれからを生きるか、自分の人生のために現代を活用するかの何れかである。
変化に対応するのではなく、変化していく時代と変化していく自分を楽しむ視点を育む。この時代をより楽しみ、味わい、ハッピーな時間の総量を増やす「Well-being」の実現のために主体性が重要なスキルであると言える。
・主体性は脳の成長を加速させる。「ドーパミンドリブン」
・変化はストレスを伴うが、主体性はストレスを変化に順応するための栄養に変える。「DHEA」
・主体性は行動・感情のコントロール能力を向上させる。「メタ認知、マインドフル」
本プログラムでは主体性を高めるためにヒト理解と自分理解を深めることを目的とする。各種レクチャー&ワークショップを通してヒトである自分の特徴や興味を理解するとともに、神経科学、応用心理学への理解を深め生物としてのヒトの特徴を理解する。-「未来、世の中が大きく変化しても、私たちがヒトであることは変わらない。」という理解のもと、これまでにない深いヒト理解と自己認識(メタ認知)を自己実現に応用することを目指す。